2026-08-11 / AI活用

MCPとは何か。Claude Codeの機能ではなく共通規格として理解する

MCPは、AIアプリと外部のデータや処理をつなぐ共通規格です。ホスト・クライアント・サーバーの役割、2024年から2026年までの発展、安全に使うための確認点を整理します。

複数のAIアプリが中央の共通接続ハブを介して外部のデータや機能につながるイメージ

MCPの仕様が更新されると、Claude Codeの新機能として紹介されることがあります。

Claude CodeがMCPを使えるのは事実です。しかし、MCPとClaude Codeは同じものではありません。

MCPは、対応するAIアプリと外部のデータや処理を、共通の形式でつなぐための規格です。Claude Codeは、その規格を利用できるホストの一つです。

「何が更新されたのか」を分けると、MCPのニュースが読みやすくなります。MCPの仕様なのか、MCPサーバーなのか、それともClaude Codeなど個別製品の対応なのかを確認できるからです。

この記事では、MCPの仕組みと約2年間の発展を整理します。最後に、業務で接続するときの確認点もまとめます。

MCPを一文で言うと

MCPはAIモデルでも、AIエージェントでも、Claude Codeの追加機能でもありません。

Model Context Protocolの名の通り、AIアプリが外部の資料や処理を利用するときの通信方法と役割をそろえる規格です。

MCPが共通化することで、一つのMCPサーバーを複数の対応アプリから利用できる可能性が生まれます。AIアプリを変えるたびに、GitHub、データベース、社内システムなどとの連携を最初から作り直す負担を減らせます。

ただし、MCP対応だから何でも無条件でつながるわけではありません。対応する仕様の版、認証、提供される機能、利用者の権限、ホスト側の承認方法を確認します。

なぜ共通規格が必要になったのか

MCPがない場合、AIアプリAからGitHubへつなぐ実装と、AIアプリBからGitHubへつなぐ実装を別々に作ることがあります。

接続先がデータベース、ファイル、ブラウザー、Slackへ増え、AIアプリも増えると、組み合わせごとの専用連携が増えていきます。

これは、コードエディターごとにプログラミング言語の解析機能を作り直していた問題に似ています。Language Server Protocolがエディターと言語機能の間を共通化したように、MCPはAIアプリと外部機能の間を共通化しようとしました。

Anthropicは2024年11月にModel Context Protocolを公開しました。Anthropic発祥であることと、Claude専用であることは別です。公開時から、AIアシスタントをデータのある場所へ接続するオープンな規格として説明されています。

ホスト、クライアント、サーバーの三つの役割

MCPの公式アーキテクチャには、ホスト、クライアント、サーバーが登場します。

役割何をするか
ホスト利用者が触るAIアプリ。モデル、画面、権限、接続を管理するClaude Code、ChatGPT、Visual Studio Codeなど
クライアントホスト内で一つのMCPサーバーとの通信を担当する機能一覧の取得、要求送信、結果受信
サーバー外部のデータや処理をMCP形式で提供するファイル、GitHub、データベース、ブラウザーなど
複数のAIアプリがMCPクライアントを通じて外部のMCPサーバーへ接続する構造
複数のAIアプリがMCPクライアントを通じて外部のMCPサーバーへ接続する構造

たとえば、Claude Codeへ「このリポジトリの未解決Issueを調べて」と頼んだとします。

Claude Codeはホストとして、接続中のMCPサーバーから利用できる機能を確認します。内部のMCPクライアントが要求を送り、MCPサーバーがGitHubへアクセスします。結果はMCPの形式で戻り、Claude Codeが利用者へ説明します。

この流れでClaude CodeはMCPを利用しています。Claude CodeそのものがMCPになったわけではありません。

一つの製品が、別の場面ではMCPサーバーとして動くこともあります。役割を担当できることと、規格そのものであることは分けて考えます。

MCPサーバーが提供する三種類

MCPサーバーが提供する代表的な要素はResources、Tools、Promptsです。

種類日本語で考えると主な注意点
Resources判断材料になる資料ファイル、DBの記録、Git履歴読ませてよい情報か
Tools呼び出せる処理検索、保存、Issue作成、送信外部を変更する権限があるか
Prompts繰り返し使う手順調査や作成のひな型誰が内容を管理するか

資料を読むことと、外部へ書き込むことでは影響が違います。MCPで同じ方法から呼び出せても、権限は一つにまとめず、作業ごとに分けます。

MCPを追加しても、AIモデルそのものの推論性能が上がるわけではありません。外部の情報や機能へ届く手段が増えます。その分、結果の鮮度や実行範囲は広がりますが、誤った操作の影響も広がる可能性があります。

2024年から2026年までに何が変わったか

MCPは、ローカルで小さなサーバーを動かす段階から、ネットワーク越しの接続、共同運営、大規模なWeb基盤へ対応する規格へ発展しました。

MCPが2024年の公開から2026年の大規模運用向け仕様へ発展した流れ
MCPが2024年の公開から2026年の大規模運用向け仕様へ発展した流れ

2024年11月: Anthropicが公開

最初の目的は、AIアプリが外部データへ接続する方法を標準化することでした。ローカルのファイルや開発ツールへつなぐ例が多く公開されました。

2025年3月・6月: 遠隔接続と認可を整備

2025年3月の仕様では、ネットワーク越しのMCPサーバーへ接続するStreamable HTTPが導入されました。

6月の仕様では、ツール結果の構造化、OAuth認可、処理中に利用者へ追加情報を求める仕組みなどが加わりました。接続できることだけでなく、複数の製品や組織で扱うための互換性と安全性が課題になった時期です。

2025年7月・12月: 共同運営とLinux Foundation傘下へ

2025年7月、MCPは仕様変更を公開提案するSEPと、メンテナーによる運営方法を導入しました。

同年12月、AnthropicはMCPをAgentic AI Foundationへ寄贈しました。AAIFはLinux Foundationのもとで設立され、Anthropic、Block、OpenAIが共同創設者として参加しました。

この時点で、MCPはAnthropic発祥ではあっても、Claude製品だけの都合で決まる専用規格ではなくなっています。

2026年7月: セッションに依存しない中核へ

2026年7月28日の新仕様では、接続中のセッション状態に依存せず、一回ごとの要求で処理できる中核へ変わりました。

従来のinitializeinitializedの交換、Mcp-Session-Idヘッダーは廃止されました。各要求が仕様版、クライアント情報、能力を持ちます。必要ならserver/discoverでサーバーの能力を確認します。

これにより、要求を通常のロードバランサーで複数サーバーへ振り分けやすくなります。同じ一覧を繰り返し取得しないキャッシュ情報、ヘッダーを使ったルーティング、認証の強化、拡張機能の枠組みも加わりました。

これはMCP仕様の更新です。Claude CodeやChatGPTなど個別製品が、いつ、どの部分へ対応するかは別に確認します。

2026年仕様で、接続時の考え方はどう変わったか

2025年までのMCPを解説した記事には、最初に接続を初期化し、サーバーの能力を交換してから処理する流れが書かれています。

2026年7月仕様では、その前提が変わりました。

観点以前の中核2026年7月仕様
初期化接続開始時に初期化を交換初期化交換を廃止
セッションセッションIDを持つ構成各要求が必要情報を持つ
振り分け同じ接続先を保つ設計が入りやすい別サーバーへ振り分けやすい
追加質問開いた双方向ストリームを使うMulti Round-Trip Requestsで再要求
一覧取得再取得が発生しやすいTTLとキャッシュ範囲を返せる

古い解説がすべて無意味になったわけではありません。ホスト、クライアント、サーバーの役割や、Resources、Tools、Promptsという考え方は残っています。

ただし、接続手順やSDKコードを実装するときは、対象製品とサーバーが対応する仕様版を必ず確認します。

業務でMCPへ接続する前に確認すること

MCPは接続方法をそろえますが、安全性を自動で保証しません。

外部サービスへ変更を加えられるToolsを渡す場合、私は次の順で確認します。

  1. 何を読むか: フォルダ、リポジトリ、メールボックス、データベースを限定する
  2. 何を変更できるか: 下書き、保存、送信、公開、削除を分ける
  3. 誰の権限で動くか: OAuthスコープ、APIキー、OSユーザーを確認する
  4. どこで人が止めるか: 送信、公開、課金、削除に承認を残す
  5. 何が記録されるか: ツール呼び出し、宛先、結果、失敗を追えるようにする
  6. どう外すか: 認証を失効し、設定を削除し、定期実行を止める

読み取りだけで足りる仕事なら、書き込み権限まで渡しません。調査用の接続と、顧客データを扱う接続を同じ境界へ入れない方がよい場合もあります。

OpenAI公式のMCP資料でも、ローカルのCodexホストへ設定するMCPと、ChatGPT Webでプラグインから使う遠隔MCPでは、設定場所と能力が異なります。「MCP対応」という一語だけで運用を決めず、実際に使う画面とホストを確認します。

MCPのニュースを読むときの三つの主語

今後、MCPのアップデートを見たら、次のどれが変わったのかを確認します。

主語確認する場所
MCP仕様通信、認証、拡張方法の変更MCP公式仕様・ブログ
MCPサーバーGitHub連携など個別接続の機能追加サーバー提供元のリリース
対応製品Claude Code、ChatGPT、VS Codeでの対応各製品の公式ドキュメント

仕様が公開されても、すべての製品が同日に対応するとは限りません。製品がMCPへ対応しても、すべてのサーバーや機能を同じ条件で利用できるとは限りません。

この三つを分けるだけで、「MCPが更新されたから特定製品の性能が上がった」といった飛躍を避けやすくなります。

まとめ

MCPは、対応するAIアプリと外部のデータや処理をつなぐ共通規格です。

Claude CodeはMCPを利用できるホストの一つですが、MCPそのものではありません。

2024年の公開後、MCPは遠隔接続、認可、共同運営、Linux Foundation傘下への移行を経て、2026年7月には大規模なWeb基盤で扱いやすい中核へ更新されました。

その一方で、共通規格であることと、安全であること、すべての製品で同じように使えることは別です。仕様版、認証、権限、承認、ログ、対象製品の対応状況を確認して導入します。

参考情報

※ 本記事は2026年8月11日時点の公開仕様をもとにしています。実装時は、利用するクライアントとサーバーが対応する仕様版を確認してください。